10月11日 習志野市決算委員会での清水晴一の質疑より
<公園緑地の整備状況について>
●質問:1
都市公園の一人当たりの整備状況と整備目標についてお伺い致します。
○回答
都市公園の整備状況といたしましては、令和4年3月末時点で、市民一人当たり6.72㎡となっております。整備目標につきましては、「習志野市緑の基本計画」に都市公園の整備目標を掲げておりまして、令和7年度目標年次として、市民一人当たり、10.0㎡の整備を目標としております。
なお、近隣市の状況を申し上げますと、令和2年3月末と若干古いデータとなりますが、市民一人当たりの都市公園面積は、千葉市が10.06㎡、船橋市が3.35㎡、八千代市が5.22㎡、市川市が3.58㎡、浦安市が6.41㎡という状況であります。
ご紹介したところでは、千葉市に次ぐ数値となっています。
●要望:
歴史を振り返ると、都市にとって疫病は、街のかたちを変え、より多くの緑地をもたらしてきました。ニューヨーク、ロンドン、パリ、メルボルンといった 世界で最も知られた都市の風景は、19世紀のコレラの流行により、かたちづくられました。
近年、都市生活における自然の重要性は医学的研究によって立証されています。そのひとつに公園とオープンスペースを利用することで得られる「ネイチャー・フィックス(自然のもたらす治癒効果)」があります。公園やオープンスペースは私たちに 運動の場をもたらしたり、感情的・心理的・精神的なバランスをもたらすことでス トレスの軽減と心身の健康を促進し、より人間的な生活環境を整えることができます。
本年3月27日、World Urban Parks(WUP:世界都市公園会議)の会長は、各政府の指示とガイドラインに従うことを前提に、物理的な距離をとりつつ公園緑地を利用することについて、新たな声明を出しました。一部を紹介します。
「新型コロナウィルス感染症の感染が拡大する状況下で、世界中が不安に包まれています。World Urban Parks(WUP:世界都市公園会議)は、これまで、公園や緑地で自然に接することにより健康やウェルネスが保たれることを提唱してきました。
感染が拡大する状況で、市民が身近な公園緑地や散策路(トレイル)に行くことへの疑問や懸念を抱いていることに対して見解を述べたいと思います。
米国疾病対策予防センター(CDC)は、新型コロナウィルス感染症の発生に関連する最大の懸念としてメンタルヘルスに注意を向けています。世界保健機関(WHO)も新型コロナウィルス感染症の拡大防止に取り組むうえでメンタルヘルスに配慮しています。
WUPは、世界規模の公衆衛生の緊急事態に対して自宅待機や物理的な距離をとるという対策は、市民にストレスを与え、不安を引き起こすことで、メンタルヘルスに悪影響を及ぼす可能性があると認識しています。
また、複数の研究結果において、人間が生きていくために「自然に触れて不調を治す」には、公園緑地や自然がいかに重要であるか示されています。身体を動かす場を提供して、感情、心理、精神のバランスを取り戻すこと、そういったことの全てが、私たちのストレスの軽減と心身の健康改善には不可欠です。
多くの公園緑地や散策路は、精神的かつ身体的な健康上の恵みを享受することができる場所として、感染拡大防止に配慮すれば利用し続けることができると考えています。
ただし、この場合、WUPはこれらの公園や緑地、散策路の利用に関して、各政府の指示とガイドラインに従うことを前提とし、またこの指示やガイドラインはその地域の状況によって異なることも理解しています。
WUPは安全である限り公園緑地や散策路、自然を利用できる状態に維持することを、自治体に働きかけています。
身近な公園緑地や散策路、自然は、人々が息抜きでき、安らぎと回復を求める場としてずっと役立ってきました。先行きが不透明な中、これらの場所は今まで以上に必要とされています。公園・レクリエーションの専門家は、この困難な時期に、公園緑地や散策路、自然を維持管理し、こういった空間が安全であるように、立ち入れるように、私たちのコミュニティに恩恵をもたらすように懸命に取り組んでいます。この健康危機の間、非常に重要な公園緑地と散策路と自然環境に、引き続き安全なアクセスが確保できるよう、WUPは政府の指導者たちに働きかけ、公園とレクリエーションの専門家を意思決定プロセスに参加させるよう促しています。」
なお、世界都市公園会議は具体的な指針として、
10-20-30キャンペーン すべての人のための公園 と題して3点示しています。
①•誰もが徒歩10分圏内に安全に利用できる公園をつくることを目指す。
②すべての公園において、自由な遊びと、自然とのふれあいと、世代を超えたウェルビーイングを実現するとともに、誰もが徒歩20分圏内で生活のためのすべての基本的ニーズを満たせる暮らしを目指す。
③現存する都市と、新たなコミュニティのための計画と実践において、2030年までに世界中でこの目標を 実現することを目指す。
私も、公園緑地を専門領域とする資格である技術士を持つものとして、この世界都市会議の声明に全面的に賛成致します。
この声明と相まって、ポストコロナのまちづくりの取り組みとして、世界の主要都市であるニューヨーク、ロンドン、パリ、メルボルンなどでは、2030年を目標として、公園緑地の整備に力を入れています。
ロンドン市では市内の緑地を50%にする「ロンドンナショナルパークシティー」の政策が進められています。パリ市ではセーヌ川沿いの高速道路の公園化が進行しています。メルボルン市では、「20分生活園」を掲げ、徒歩や自転車で自宅から20分の範囲で公園などにアクセスできるような都市計画を進めています。
ロンドン市によると、ロンドンの都市緑地は、国民保健サービスに年間約1,500億円(9億5200万ポ ンド)の節約をもたらした(2017年)との報告があります。
豊島区では、将来の若者人口が激減し、消滅可能性都市と指摘された危機感から、公園を中心としたまちづくりを進め、若者世代を引き付ける魅力的な公園を次々とオープンさせ話題となっています。
本市においても、市民の医療費を削減し、まちの資産価値を向上させる、極めて費用対効果の高い公園緑地の整備・管理・運営への投資を高めることを強く要望します。答弁を求めます。
〇回答
清水委員よりご紹介のあった世界の公園緑地の整備状況を参考に、本市においてもより一層の公園緑地の整備を進めて参ります。
●質問:2
今後予定されている新たな都市公園整備の計画についてお伺い致します。
○回答
本市で予定している新たな都市公園の整備計画につきましては、鷺沼地区において、検討が進められている土地区画整理事業に伴う公園整備が予定されております。近隣公園として約2ヘクタールの公園を予定しております。この公園は、災害時における一時避難場所としての整備を検討しているところです。また、令和3年第2回定例会において真船議員から、障害のある子もない子も一緒に遊べる、インクルーシヴ遊具の検討もご要望されているところでありますので、こちらについても、併せて検討しているところです。
また、整備目標の一人当たり公園面積10㎡に向けて新たな都市公園の整備が求められるところではありますが、これと並行して、既存の都市公園につきましても、古くなった施設の更新等、適切な維持管理を推進しているところであります。具体的には、遊具を新しいものに交換する、更新工事を計画的に行っております。
更に、令和4年9月定例会で清水議員より、ご提案のあった設置管理許可制度の活用を含めた、民間との連携につきましても、都市公園の魅力を高めるためには効果的であり、整備・運営の手法も含めて検討する必要があると考えております。この実現には、時間を要しますことから、現在の取り組みとしましては、公園の利用促進や魅力の向上を図るため、公園内でのキッチンカー等による飲食物販売につきまして検討を行っているところです。
引き続き、新たな公園の整備を推進するとともに既存施設の適切な管理や有効活用に努めてまいりたいと思います。
●要望:
WHO世界保健機構は、都市における健康と緑地の専門家を各国から招集し、都市緑地による処方箋を議論させました。この専門家会議の報告書が、World Urban Parksジャパンより、「都市緑地 実践のためのガイドブック」として発行されています。
ガイドブックの中で、都市政策の立案者と実行者が設計段階で考慮すべき四つの事項を示しています。その一つに、人々の暮らしの近くに緑地を配置するという事項があります。具体的な、指針のひとつに、住居から直線距離300m以内、徒歩約5分圏内で0.5~1.ヘクタールの公共緑地を配置することを基本方針とするとあります。参考にしてください。
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